私が大学生の時、ある学童保育のスキー教室でインストラクターをすることになりました。指導する子たちは、ハの字はできるが、急斜面はすべれず、パラレルターンができないレベルでした。私がしたことはまず、けがをしないような転び方を緩斜面で子どもたちに実演してもらうことでした。それから、山の頂上まで行き、コブのないところを選んで(足がもっていかれないようにするため)すべるように指示し、子どもたちを先に滑らせ、私が最後に滑るようにしました。(もし転んだ子がいたら助けられるように)それを2度ほど繰り返し、残り時間がわずかになったので、緩斜面で子どもたちにパラレルターンの方法を教えました。最後に急斜面でパラレルターンのテストをしたのですが、付き添いの先生方の様子を見たところ、以前よりかなり上達しているような様子でした。学童保育に戻り保護者が迎えに来て、子どもたちと離れた場所で休んでいたところ、数人の保護者が私に「子どもがたいへん喜んでました。ありがとうございました」とお礼を言いにやってきました。子ども曰く、「山の頂上から滑ることができて楽しかったし、自信がついた」とのことでした。

この経験で感じたことは、目標は「急斜面でパラレルターンができるようになる」でしたが、子どもたちは「スキー教室を楽しむ」ために来ているのであり、スキー教室を通じて「できなかったことができるようになり、自信をつけてもらう」という大きな目的があったように思います。目標に縛られるのではなく、子どもたちのニーズは何か、スキー教室を通じて子どもの何を育みたいかということを理解すると、自ずと何をしたほうがいいのかという答えは出てくるということでした。